有責配偶者からの離婚請求は認められるの?
結婚生活の破綻の原因を作り、責任があるほうの配偶者のことを有責配偶者といいます。
夫婦の一方が浮気や不倫をして、それによって夫婦関係が破綻すれば、浮気や不倫をした配偶者は有責配偶者となります。
このような、離婚の原因を作った有責配偶者からの離婚請求は認められるものなのでしょうか?
最高裁の昭和27年の判例で「踏んだり蹴ったり判決」というのがあります。
有責配偶者からの離婚請求に対し、「勝手に愛人をもった夫からの離婚請求が許されるならば、妻は全く俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくの如き不徳義勝手気儘を許すものではない。」とし、愛人をもった夫からの離婚請求は認められませんでした。
このような、有責配偶者からの離婚請求は認めないという考え方を、有責主義といいます。
判例は、かつては、有責主義を採っていましたが現在では破綻主義を採っています。
破綻主義とは、有責配偶者からの離婚請求であっても、結婚生活が、継続を期待できないほどに破綻した場合には離婚を認めてもよいという考え方です。
昭和62年の最高裁の判例で、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があるとする画期的な判決が出ました。
長らく有責主義だった判例が変更されたのです。
その判例では、一定の条件付きの判断が下りました。
有責配偶者からの離婚請求には3つの要件が必要
有責配偶者からの離婚請求が認められる要件は次の3つです。
①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること
②その間に未成熟の子が存在しないこと
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められないこと
①の相当長期間の別居については、おおむね6~8年程度が最低でも必要なようです。
相当長い別居期間がないと、有責配偶者からの離婚請求は裁判では認められないということですね。
②の「未成熟子」とは。親の監護なしでは生活を保持しえない子をいいます。
未成年(20歳に達しない者)とは異なります。
高校生の子がいる場合でも有責配偶者からの離婚請求が認められた事例もありますし、有責配偶者からの離婚請求は、様々な事情を総合的に考慮した上で個別に判断されることになります。