養育費の強制執行
強制執行とは?
強制執行とは、確定判決や審判書・調停調書など強制執行力のある書面(これを債務名義と言います)により養育費が定められている場合に、民事執行法上の手続きに従い、債務名義に基づいて地方裁判所に強制執行の申立てをし、支払義務者の財産から強制的に支払を確保することのできる制度です。
その他、強制執行をすることができる債務名義となるものに、公正証書があります。
離婚前に公正証書を作成し、養育費の支払についての取り決め、強制執行を認諾する旨の条項を入れておけば、判決や審判・調停を経ることなく強制執行をすることができます。
強制執行認諾条項を入れた公正証書には、裁判の判決書と同等の非常に強い効力があるのです。
養育費の強制執行の効力
養育費や婚姻費用のような民法上の扶養義務に基づく定期金債権の強制執行については、他の債権にはない特例が認められています。
養育費や婚姻費用は生活をする上で欠かせないお金なので、他の債権に比べ優遇されているのです。
通常の債権
➡ 原則として既に不履行になっている部分のみ強制執行できる
養育費・婚姻費用などの定期金債権
➡一部でも不履行があれば、支払期限が到来していない将来の分も一括して強制執行できる
養育費を支払う側(大抵の場合は夫なのでここでは夫とします)が1度でも支払を怠れば、元妻は裁判所に申し立てて、将来にわたる給料を差し押さえることができるのです。
申立てが認められると、元妻は、元夫の職場(会社)に対して毎月の給料の中から養育費分を支払うように求めることができるので、定期的に元夫の給料から養育費を受け取ることができるようになります。
差し押さえることができる給料はどのくらい?
養育費等の金銭債権に基づく強制執行については、ここでも特例が認められています。
民事執行法152条第3項により、養育費は、給料等の2分の1まで差し押さえることができます。
(原則は、給料等の4分の1までしか認められていません)
実際に強制執行を行う手続きについては、次回のブログに書いていきます。
強制執行は、元夫の給料を差し押さえるため、どこの会社で働いているのかを知っている必要があります。
元夫が転職した場合は、要注意です。
転職先を知らなければ強制執行が出来ませんので、調査が必要になってきます。