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​離婚の基礎知識
■離婚の種類

離婚には協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚(認諾離婚、和解離婚、判決離婚)があります。

離婚の方法についての割合は、協議離婚が全体の約9割を占めています。

残りの約1割が調停離婚で、裁判離婚はごくわずかです。

協議離婚

​離婚について、夫婦の間の話し合いで合意ができた場合に、市区町村役場に離婚の届出をすることによって離婚する方法です。

法定の離婚原因は必要ありません。 

(離婚理由は、何であってもかまいません。離婚理由を届出に書く必要もありません。)

夫婦の間に未成年の子供がいる場合は、離婚後に夫と妻のどちらが親権者になるかを話し合いで決めておかなければなりません。

これが記載されていないと、離婚届は受理されません。

調停離婚

離婚について、夫婦間の話し合いで合意ができない場合に、家庭裁判所に調停の申立をし、調停の手続きの中で合意に達し、調停が成立することによって離婚が行われるものです。

離婚事件については、原則として訴訟に先立ち、家庭裁判所に調停の申立てをし、話し合いにより紛争の解決を図るべきものとされています。

これを調停前置主義といいます。

これは、離婚などの家庭生活上の争いについては、いきなり訴えに基づく裁判により白黒をはっきりさせるよりも家庭裁判所の調停により、夫婦の感情に配慮しつつ、話し合いで解決をはかるほうが望ましい、という考えによるものです。

審判離婚

家庭裁判所の調停の手続きのなかでも合意に達せず、調停が成立しない場合に、家庭裁判所の判断で、調停に代わる審判がされることによって、離婚が行われるものです。

裁判離婚

家庭裁判所の調停が成立せず、かつ、家庭裁判所の審判による離婚も行われない場合に、家庭裁判所に離婚の訴えを起こし、判決(判決離婚)、和解(和解離婚)または請求の認諾(認諾離婚)によって離婚が行われるものです。

■離婚の原因

協議離婚の場合には、夫婦の間の話し合いがつきさえすれば、離婚する原因は何であってもかまいません。

調停離婚、審判離婚の場合についても、離婚の原因について法律上の限定はありません。

特に、調停離婚の場合は協議離婚とほぼ同様に考えていいです。

これに対して、裁判離婚(判決離婚)の場合には、民法第七七〇条で定められている一定の離婚原因がなければ離婚を認めないこととされています。

 

★法定の離婚原因★

⓵配偶者に不貞な行為があったとき

②配偶者から悪意で遺棄されたとき

③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

​■慰謝料とは?

離婚に伴う慰謝料とは、離婚によって精神的苦痛を被った者に対してなす金銭的賠償のことをいいます。

離婚のなかには、一方の配偶者の有責行為によって離婚がもたらされた場合とそうでない場合がありますが、そのうち、一方の配偶者の有責行為によって離婚がもたらされた場合には、その有責行為のあった配偶者は相手方配偶者に対して、不法行為者として、精神的損害に対する賠償(慰謝料)の支払義務を負うこととされています。

​■財産分与とは?

離婚に伴う財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を離婚に際して分与することをいいます。

財産分与の性質については、以下の三つの要素を合わせもっています。

①婚姻継続中に生じた財産関係の清算(清算的要素)

②離婚により生活が困窮するおそれのある配偶者の扶養(扶養的要素)

​③離婚の原因について責任のある配偶者から離婚により精神的苦痛を被った相手方配偶者への賠償(慰謝料的要素)

​財産分与の対象

財産分与の対象になるのは「婚姻期間中にその協力によって得た財産」です。​

夫婦の一方が婚姻前から所有する財産、婚姻期間中であっても相続などにより取得した財産は、夫婦が協力して形成したという実質がないので、原則として清算的財産分与の対象とはなりません。

分与の対象となる財産の種類ですが、現金、預貯金、不動産、自動車などのプラスの財産ばかりとは限らず、借入金などのマイナスの財産(家や車のローンなど)も、夫婦共同生活の中で生じたものであれば、清算的財産分与の対象となります。

★財産分与の対象となるもの★

・現金

・預貯金

・財形貯金

・株・有価証券

・自動車

・不動産

・学資保険

・生命保険

・退職金(既に支払われているもの/将来支払予定)

・年金分割

・家計のための借入金など

・ペットの飼育費用             etc...

​■親権とは

親権というのは、子を養育するための親の権利義務をまとめて言い表す言葉です。

民法第819条第1項は、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない」​と規定しており、離婚に際しては親権者が定められていなければ離婚届は受理されません。

親権の内容は、身上監護権財産管理権の2つに分かれます。

身上監護権とは、子を監護(監督保護)し、教育する権利義務です。

具体的内容は、次の3つです。

①子の居所を指定すること

②子を懲戒すること

③子が職業に就くことを許可すること

財産管理権とは、子の財産を管理し、子の財産に関する法律行為にについて子を代表(代理)することです。

​■監護者とは

​離婚後については、親権者とは別に監護者をおくことができます。

監護者は必ずおかなければならないものではありません。

(実際、親権者とは別に監護者がおかれるのは、あくまで例外的とされています)

​監護者がおかれた場合は、親権者の権利義務のうち、子の身上監護に関することだけが監護者の義務となります。​(上記の身上監護権の①~③)

監護者になるのは、父母だけでなく、第三者でもよいとされています。

​■面会交流

​面会交流とは、離婚後または別居中に、子どもを養育監護していないほうの親が子どもと面会等を行うことをいいます。

両親の離婚後や別居中であっても、子どもにとっては親であることに変わりはなく、未成年の子との面会交流を認めることが、子どもの人格形成、精神的発達に必要と考えられることから認められています。

​面会交流に関すること(面会の方法、回数、日時場所など)は、協議離婚の場合は父母の協議で定めることができます。

​■養育費について

養育費の額、支払方法は、まず夫婦の話し合いで決めます。

お互いの収入や財産、これまでにかけた養育費の額、これからの見通しなどを考慮して決めていくことになります。

養育費についての取り決めは口頭でも有効ですが、後で言った言わないの争いになることも考えられます。

取り決めの内容を明確にし、後日の紛争を避けるため、公正証書、それも強制執行認諾約款付公正証書を作成することをお勧めします。

強制執行認諾約款付公正証書とは、養育費の取り決めについて「約束を守らない場合は強制執行をしても構いません」という文言をつけた公正証書のことをいいます。

この公正証書を作成しておけば、支払いが滞った場合に裁判をしなくても支払い義務者の給料を差し押さえるなどの強制執行が可能となります。      

​■婚姻費用とは

婚姻費用とは、結婚生活を営む上で必要となる費用のことです。
夫婦の婚姻期間中は、婚姻家庭がその資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するために必要な費用(婚姻費用)を夫婦が互いに分担するものとされています。

たとえ夫婦が別居していても、婚姻関係は継続しているので、互いに婚姻費用を分担する義務があります。

婚姻費用の額、支払方法は、まず夫婦の話し合いで決めます。

協議が調わないときは、家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立てることができます。

調停で解決ができない場合は、さらに審判に移行することになります。

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