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公正証書による強制執行の前に必要なもの

養育費 強制執行 手続き 送達 執行分の付与

確定判決、審判書、調停調書、公正証書などの強制執行力のある書面が手元にあり、そこに定められた支払期限までに養育費の支払いがなされなかった場合、相手方の給料や銀行の預金口座の差押え(強制執行)をすることができます。

今日は、離婚時に公正証書を作成していた場合に、強制執行を申し立てる前段階として必要な手続きについて説明します。

 

裁判所に強制執行を申し立てるにはこれが必要!!

①強制執行認諾約款付公正証書 ②債務者への送達 ③執行分の付与 

①強制執行認諾約款付公正証書

強制執行認諾約款とは、公正証書の中の下記のような文言を言います。

「甲は本契約に規定する金銭債務の支払を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した。」

上記のような文言が入っている公正証書であれば強制執行が可能です。

せっかく公正証書を作成していても、この「強制執行認諾約款」が入っていなければ強制執行をすることはできません。

②債務者への送達

強制執行を開始するためには、その前段階として、公証人から債務者に対し、公正証書の謄本を郵送で送り、書類の内容を少なくとも知り得る状態にしておく「送達」の手続きが必要になります。

送達は債権者の申立てにより行われるもので、支払が滞ってから、債務者宛てに郵送での特別送達により行われるものですが、公正証書の作成時に同時に行うこともできます。

後になってからだと債務者が公正証書を受け取らない恐れがあるので、公正証書作成時に送達の手続きをしておくのが確実です。

なお、公正証書作成時に債務者本人が公証役場に行った場合には、郵送による特別送達ではなく、公証人が債務者に公正証書謄本を直接手渡しする「交付送達」という方法があります。

当事務所では、ご夫婦2人で公証役場に行く場合には交付送達を、債務者が行かない場合には郵送による特別送達の手続きを、公正証書作成時に済ますようにお伝えしています。

債務者が公正証書の謄本を受け取り、送達が完了すれば、公証役場から送達証明書が発行されますので、保管しておきます。

この送達証明書を強制執行の申立て時に提出します。

※送達証明書は申請しなければ交付されません。送達証明書が手元にない場合は、公証人役場に送達証明申請を行い、送達証明書を取得してください。

③執行分の付与

強制執行の申立をすることになったら、公正証書の正本(債権者が保管している公正証書)を公正証書を作成した公証役場に持っていき、公証人に執行文の付与を請求します。

この執行文が付与された公正証書と、送達証明で強制執行の申し立てをすることができるようになります。

~その他の必要書類については次回のブログで~

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