婚約を解消した場合、結納は返さなければならないの?

結納とは
結納とは、日本で伝統的に行われている婚約の儀式のことです。
近年では、形式ばった結納を行わずに、「両家顔合わせ食事会」のようなスタイルも増えてきているようです。
判例によると、「結納は、婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与である」としています。
結納を行ない結納金の授受があった後に婚約を解消した場合、結納金は返さなければならないのでしょうか?
結納の返還
結納については、解除条件付贈与と解される説が有力となっています。
解除条件とは、条件が成就すると、法律行為の効果を消滅させる条件のことをいいます。
結納を解除条件付贈与と考えた場合、
「婚約が結婚に至らずに解消された場合は、結納を返還する」
となり、結納は原則として返さなければなりません。
ただ、婚姻に至らなかった原因が結納を送ったほう(男性側)にある場合は、結納の返還を求めることはできないとされています。
これは、民法第1条第2項の、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」という信義誠実の原則によるものです。
ですから、結納を受け取ったほう(女性側)に原因がある場合は、結納を返さなければなりません。
婚姻後の結納の返還
結婚生活が開始されれば、原則として結納の返還を求めることはできません。
ただ、結婚生活があまりに短い場合には、結納の返還の問題が生じます。
結婚の破綻の原因が結納を受け取った側(妻)にある場合には返還を求められても仕方がないといえるでしょう。