慰謝料と財産分与との関係
離婚に伴う財産分与は、次の3つの性格を持っています。
①清算的財産分与(夫婦財産の清算としての性格)
②扶養的財産分与(離婚後の扶養としての性格)
③慰謝料的財産分与(精神的苦痛に対する慰謝料としての性格)
離婚に伴う慰謝料とは、離婚によって精神的苦痛を被った相手に対してなす金銭的賠償のことをいいます。
③の慰謝料的財産分与と、離婚に伴う慰謝料。
『慰謝料』と名のつくものが2つあるので、違いが分からない、という方もいるかもしれません。
慰謝料と財産分与との関係
③の慰謝料的財産分与には慰謝料の性格が含まれています。
これは、財産分与に慰謝料が必ず含まれるというわけではありませんし、含めなければならないということもありません。
財産分与と慰謝料を別々に取り決めてもいいですし、財産分与の中に慰謝料を含めることもできるのです。
既になされた財産分与に慰謝料的要素が含まれており、その後、相手方の不法行為を理由に離婚に伴う慰謝料の支払いを請求した事例で、その額を定めるにあたっては、既に財産分与がされている事情を斟酌し、その財産分与によって請求者の精神的苦痛がすべて慰謝されたものと認められるときは、重ねて慰謝料の請求をすることはできない。
しかし、財産分与がなされても、それが損害賠償の要素を含めていると解されない場合や、その額や方法が請求者の精神的苦痛を慰謝するには足りないと認められるときは、別途、慰謝料を請求することができるとした判例があります。