増加している熟年離婚
「熟年離婚」と聞くと、夫が定年する前後か、それ以降の離婚のことだと思われている方もいるかもしれません。
2005年に「熟年離婚」というそのままズバリのタイトルのTVドラマがありました。
渡哲也さん演じる主人公が、長年勤めてきた会社を退職したその日に、松坂慶子さん演じる妻より唐突に離婚届を突き付けられるという内容。
世の奥様達の共感を得たためか、このドラマは高視聴率を獲得し「熟年離婚」という言葉が流行語になりました。
実際、熟年って何歳くらいのことを指しているのでしょうか。
このドラマの主人公の年齢からイメージして、60歳前後の年齢をいうのかしらと漠然と思っていたのですが…
調べてみると、「熟年」の年齢に明確な定義はないようですが、大体45歳~69歳くらいを指しているようです。
では、熟年離婚というと45歳~69歳の年齢での離婚をいうのかというと、それも曖昧なようです。
一般的には、婚姻生活20年以上の夫婦の離婚を熟年離婚というようです。
ですから、20歳で結婚した夫婦が20年後の40歳で離婚すれば、熟年離婚になりますね。
前置きが長くなりましたが、、
結婚後20年以上経過している夫婦の離婚、「熟年離婚」は増加しています。
離婚の総数自体は2002年をピークに減少傾向にあるのですが、熟年離婚の割合は増加しているのです。
熟年離婚を切り出すのは圧倒的に妻が多いのですが、夫から離婚を切り出すケースも以前に比べて増加しているようです。
妻が離婚を希望する主な原因は、長年蓄積してきた不満が爆発した結果だと考えられます。
子供が自立するまでは家族という共同体を維持するために、妻として母としての責任を全うし、子供の自立や夫の退職のタイミングで、もう妻、母の務めは果たしました、今後は自由になりたいんですと宣言。
そして離婚届を突き付ける。
夫側からしたら晴天の霹靂でしょうが、妻からしたら長年温めてきた計画だったりもします。
また、夫が退職した後のライフスタイルの変化も、妻からの離婚のきっかけになることも多いです。
夫が退職した途端、ずっと家にいるようになる。
それまで仕事にしか向いていなかった夫の目が、突然、家庭、妻に向くようになる。
妻のやることにいちいち干渉し始める。
それまで自由にしてきた妻の不満が爆発。
逆に離婚を切り出す夫の側。
長年、家族のために働いて退職。
余生は妻と共に旅行に行ったり、共通の趣味かなにか見つけてのんびり暮らしたいなぁ、なんて考えていたりします。
ところが、妻は朝から晩まで夫のいる生活に慣れていません。
給料を持ってくるわけでもなく、口だけやかましい夫が鬱陶しいだけの存在になり、ぞんざいに扱うようになる。
主婦友と出かけたり旅行に行ったり自分だけ楽しんで、夫と時間を共有しようとしない。
夫は楽しみにしていた退職後の生活の夢を打ち砕かれ、自分の存在意義にも疑問を持つようになる。
夫婦として一緒にいる意味がないように感じ始め…
離婚を切り出す。
こういう話も多いですね。
熟年夫婦の離婚の場合、離婚の理由はひとつではなく、複合的である場合がほとんどです。
考え方や金銭感覚のずれ、愛情の喪失、長年に渡って積み重なった不満、これら様々な原因の蓄積なので、どちらに原因があるのか、どちらが悪いのかと決められるものでもありません。