年金分割の前に年金制度について知っておこう!
離婚時の財産分与の対象となるもののひとつに『年金』があります。
『年金分割』として広く知られるようになってきていますが、これは、婚姻期間中の保険料納付記録の最大2分の1を一方から他方へ分割する制度です。
離婚時の年金分割についてお話する前に日本の年金制度について簡単にご説明します!
年金は公的年金と私的年金とに分けられる
公的年金制度は、いま働いている世代(現役世代)が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるという「世代と世代の支え合い」という考え方(これを賦課方式といいます)を基本として運営されています(保険料収入以外にも、年金積立金や税金が年金給付に充てられています)。
また、日本の公的年金制度は、「国民皆年金」という特徴を持っており、20歳以上の全ての人が共通して加入する国民年金と、会社員が加入する厚生年金などによる、いわゆる「2階建て」と呼ばれる構造になっています。
●自営業者など国民年金のみに加入している人(第一号被保険者)は、毎月定額の保険料を自分で納めます。
●会社員や公務員で厚生年金や共済年金に加入している人(第二号被保険者)は、毎月定率の保険料を会社と折半で負担し、保険料は毎月の給料から天引きされます。
●専業主婦や年収130万円未満の扶養されている人(第三号被保険者)は、厚生年金制度などで保険料を負担しているため、個人としては保険料を負担する必要はありません。
老後には、全ての人が老齢基礎年金を、厚生年金などに加入していた人は、それに加えて、老齢厚生年金などを受け取ることができます。
このように、公的年金制度は、基本的に日本国内に住む20歳から60歳の全ての人が保険料を納め、その保険料を高齢者などへ年金として給付する仕組みとなっています。
「公的年金」は3種類!
年金というと、高齢になったら給付される「老齢年金」を思い浮かべますが、次の3種類があります。
(1)高齢を給付原因とする「老齢年金」
(2)重度の障害を負ってしまったときに受け取ることができる「障害年金」
(3)一家の大黒柱が亡くなったときに残された遺族が受け取ることができる「遺族年金」
公的年金の給付を受けるためには、毎月の保険料をきちんと納付する必要があります。
また、離婚した場合には年金の切替え手続きが必要になる場合があります。
これについては次回ご説明します。